【GIGA取材】岡山県立津山高等学校でのGIGAスクール構想推進への取組を取材しました

 

岡山県立津山高等学校でのGIGAスクール構想推進への取組を取材しました


【概要】
『まず使っていこう!』『使ったらいいことありそう!』を合言葉に、端末を持つ1年生の授業を中心として、授業やHR、進路指導等でGoogleのアプリを活用した実践が増えつつあり、そのメリットとデメリットを検証しながら実践例が蓄積されている。
 組織として主導できる人員を増員配置し、校内研修では年度当初に自由参加の形で“自主研修会”を開催した。また、総合教育センターの遠隔研修では、各教員が持つ端末に資料を共有することで、紙媒体の配布をしない研修形態だった。



【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導におけるメリットとデメリット



1 多くの教科でJamboardを活用したグループ学習を行っている。

◎頻繁に使うことで生徒も慣れ、モチベーションも高まる。
◎意見を出すハードルが下がり(主体的)、 簡単に班員や他班の意見を共有(対話的)でき、個々の考えが深まる(深い学び)。
◎PDFで簡単に保存ができ、簡単に振り返ることができる。

△タッチペンやタイピングなどに習熟しておらず、手間がかかる。
△ボード作成に気をとられて、読解がおろそかになることがある。
△(使用すると)楽しいので、授業の雰囲気の切替が難しい。また、机のスペースが狭くなる。



2 フォームの小テストやアンケートを使って根拠を示した解説を行っている。

◎今までは「ここができていない」という問題を、教員の経験則で話していたが、小テストやアンケートの結果がすぐに見えるので、根拠を示しながら話ができ、生徒も納得しやすい。



3 デジタルでの課題提出は迅速かつ効率的に評価できる。

◎録音機能を使って、スピーキングテストをクラスルームで課題として提出。 英文添削指導もデータで提出、データで返却可能。(英語)
◎動画撮影でフォームの確認が可能。(体育)

△いつでもできるがゆえに後回しにしたり、勤務時間外にしたりしてしまう。


B 生徒指導・進路指導・部活動の情報化


4 HRの連絡事項はClassroomに表示することで、情報の共有がスムーズに。

◎ClassroomにHRの連絡事項(健康観察・課題提出・アンケートなど)を掲載することで、配る紙の量も減り、生徒の情報の取りこぼしが少なくなった。

△大量のデータをうまく管理する必要があるので、教員、生徒ともに情報の取捨選択力が必要である。



5 推薦指導などの進路指導でも、Classroomの課題提出を活用。

◎志望理由などの文章はデータによるやり取りで指導が可能に、面接指導はZoomやMeetなどで遠隔指導が可能になった。

△face to faceの指導が減り、本人の表情を見ながらできていたことができなくなった。
△職員室にあいさつをして入り、担当の先生に声をかけてお願いする・・・など当たり前とされてきたコミュニケーションが減ってきている。



6 生徒とのオンラインでのコミュニケーションに透明性を保つ。

◎HRだけでなく、部活動などのクラスルームも多数あるため、各クラスルームに教員は必ず複数名所属し、管理職や非常勤の先生など、自由に入れるようアカウントを整備したことで、透明性が保たれている。


C 校務・校内研修の情報化


7 校内組織の工夫で、効率化と活性化を実現。

◎技術面から支援する『教務課情報係』、授業改善から支援する『教務課企画係』を設置し、各年次2名ずつを配当して強化したことで、学年間の情報共有がやりやすくなり、円滑に業務が進行するようになった。また、転勤などで担当者がいなくなることによるトラブル発生リスクが軽減された。
◎年度当初に自由参加の形で“自主研修会”を開催した。基本的なChromebookの操作から、授業実践の紹介まで、丁寧に説明しており好評だった。また、併設する中学校の先生も多数参加することができた。



8 情報共有には実践事例通信や、動画を活用。

◎Chromebookの活用授業などを紹介する企画通信を随時発行し、全員に配付することで技術の伝達がスムーズになり、困ったときも聞きやすくなった。
◎例えば「連絡先をcsvで取り込むには?」のような、紙の説明資料では説明しにくかったり、紙の説明資料を作る労力がかかったりする場合に、マイクで説明を加えながら実際の画面上の動きを録画し、Classroomの「高校職員室」(教員のみ見れるもの)に投稿し、周知した。
※併設の津山中学校(数学)では、生徒から多い質問については解説動画を作成し、Classroomでシェアしている。



9 研修資料はGoogleDriveで共有し、ペーパーレス会議を実現。

◎総合教育センターの研修支援を遠隔で行った際や、校内の各種会議資料はClassroomやGoogleDriveにアップし、『必要な人だけ、必要な場所だけ印刷する』ことにしたことで、全員の机上に確認しながら資料を配付し、会議後は取りあえずファイルする、という紙資料のムダが減った。
△依然として「紙で資料を配ってほしい」という声もある。



【まとめ】

  昨年度から津山高校では授業内外を問わずICT活用を進めており、本年度に入り、組織としてより効率的な支援体制が整いつつある。現状課題もあるが、試しながらやってみる、使ったらいいことがありそう!と前向きに考えてもらえるよう取り組むとのことだった。

2021/6/11 取材

 - 高等学校 校務のDX, 校内研修