【GIGA取材】岡山県立津山中学校の1人1台端末の活用状況を取材しました

 

岡山県立津山中学校の1人1台端末の活用状況を取材しました


【概要】
 各教科の授業のどこで1人1台端末を活用できるのか、教科担当が工夫を凝らして実践した様子をお聞きしました。英語や数学、理科など、授業での活用実践を中心に紹介します。
  活用しているICT環境は、①1人1台端末(Chromebook)、②Google Workspace for Education Fundamentals(Classroom、Spreadsheet、Forms、Slides)、③録音ソフトウェア、④デジタル教科書。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導における活用


1 【英語】Spreadsheetで英単語の習得から単語テストまで行い、採点も自動で完了できる。

・従来、単語帳を使っていた英単語の習得をSpreadsheetを活用して学習している。練習用のSpreadsheetにタイピングで練習し、リンクから音声を聞くこともできる。単語テストでは練習と同様の形で行うことでスムーズに解答でき、数式により自動で採点される。従前のように紙に書いて単語を覚えることにとらわれない発想で、採点作業もなく、作業の効率化が図られている。


2 【英語】Spreadsheetで英作文を行うことでリアルタイムで添削やアドバイスが行え、その場でフィードバックできる。

・Spreadsheet上に英作文を行う「授業シェアノート」を作り、クラス全員がそれぞれ入力する。リアルタイムで生徒の英作文を添削し、アドバイスを行うことができる。その場でフィードバックすることで、間違ったままにならず、他の生徒の書き込みも見ながら自分の英作文の力を向上させることができる。


3 【英語】動画でリスニングの練習をしている。

・YouTubeなどの英語の動画を個別の端末で聞くことで、リスニングの力を育てることができる。必要に応じて繰り返し聞き直すことができるので、習熟度に合った学習ができる。


4 【英語】スピーキングテストを録音して提出している。

・スピーキングテストを端末に録音し、Classroomから提出することで、従来1時間かけて行っていた作業を5分で行えるようになった。採点についても空いた時間を有効に活用し、短時間で行えている。


5 【数学】小テストは紙とFormsのハイブリッドで行い、Spreadsheetで振り返りをみんなで共有している。

・数学では数式を端末に入力するのは難しいため、小テストの実施は従来通り紙を配付して行い、解答をFormsに入力する。Formsの分析機能を活用することで、採点と同時にどのような誤答があるか自動で表示され、小テスト後に即座に間違いやすいポイントを共有することができる。


6 【数学】要望に応じて解説動画を作成して、いつでも何度でも説明を聞くことができる環境を整えている。

・質問に対し、個別に解説していた内容を、少し丁寧な解説動画にしてドライブにアップしておくという取組である。「質問form」から質問したい問題をリクエストすることができ、他の生徒が質問した問題の解説も見ることができる。また、授業のない日でも解説動画を見て学習することができる。教師は複数の生徒に何度も同じ説明を繰り返す必要がない。


7 【理科】実験結果や考察結果を共有したり、デジタル教科書を活用して、より細かな観察を行っている。

・実験結果や考察をSpreadsheetに入力し、全員で共有しながら1人1人が自分の考えを深めたり、全体でディスカッションしたりできる。

・デジタル教科書でサバの3D骨格標本を開き、生徒自身の手で動かすなど、より細かな観察が行えている。

・授業で使用したスライドをClassroomにアップして、家庭学習で活用できるようにしている。

・Classroom上にあるFormsで授業の振り返りをしている。


8 【課題研究(3年生)】Slidesを使ってプレゼンを作成し、Classroomに提出している。

・従来、情報教室に移動して作成し、USBメモリに保存していた課題研究のプレゼン資料を各自の端末からSlidesを使って作成し、Classroomに提出することが可能になった。

・発表スライドを個別の画面で開くことができるので、小さな発表会を気軽に開くことも可能である。


B 生徒会活動・部活動の情報化

9 【生徒会活動など】ネットワークを活用してオンラインでの生徒総会や、端末を活用したアンケート回収を行っている。

・各クラスごとにオンラインでつなぎ、生徒総会を開催。スマホサミットに向けた生徒のアンケートもFormsを活用して簡単に回収することができる。


10 【部活動】野球部と陸上部ではClassroomを活用して、顧問からの連絡や仲間づくりも行っている。

・部活動の予定表などの連絡をClassroomで行うことで、各部員が各自で確認しやすくしている。

・コロナで部活動が停止しても、自主トレーニングのメニューを共有し、モチベーションの維持や仲間づくりにも生かすことができている。


【まとめ】

 津山中学校では、様々な場面で1人1台端末の活用に挑戦し、Googleの各アプリの共有機能を効果的に活用されていました。数学の数式の入力や、Chromebookからの印刷などの課題もありますが、先生方の姿勢が前向きで、チャレンジ精神がうかがえました。端末を使うことで従来の紙で学習することの良さも再認識しているとのことで、紙と端末の長所を上手に組み合わせながら更なる活用を模索しているそうです。紙面に取り上げたもの以外では学校評価アンケートなどにも活用されています。その他の校務でも積極的な活用を考えているそうですが、規模の小さい学校なので、端末活用で生まれるのはメリットばかりではないそうで、意見を出し合い、試行錯誤しながら活用方法を模索しているそうです。

 津山中学校のWebページには、Chromebookを使用した授業実践が掲載されています。ぜひご覧ください。

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