おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】岡山県立水島工業高等学校でのGIGAスクール構想推進への取組を取材しました

岡山県立水島工業高等学校でのGIGAスクール構想推進への取組を取材しました


【概要】
 水島工業高校ではベテランと若手がタッグを組んで、校内での活用を推進しています。授業においては、特に若手の先生を中心に、工業科目のうち各種の実習での活用が模索されています。今まで実際に見たり、触れたりすることで伝えられてきた『ものづくりの技術』と、『ICT機器』をうまく組み合わせ、授業の効率化と技術の伝承に取り組んでいます。また、資格検定補習ではFormsを用いることで、反復練習のスピードを上げ、結果のフィードバックがスムーズになっています。就職試験指導でも面接練習を録画し、すぐに、いつでも、何度でも確認できることで、個別に最適化した指導が進められています。
 ICT環境:生徒用端末(Chromebook)1年全員+約80台 短焦点プロジェクター Google Workspaceなど


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 実技を伴う科目(工業)における活用


1 工業化学科の分析実習では、操作確認はスライドで、実習データの共有はスプレッドシートで行うことで、操作に充てる時間が増えた。

 板書で確認していた実習操作は、スライドを共有することで生徒の端末でいつでも確認することが可能になった。測定値の共有は、以前からExcelで行ってはいたが、スプレッドシートに変えたことで、教師側の把握が容易になった。また、レポートの提出は紙とデータ(PDF)を併用しており、両者の良いところを残しつつ上手に活用している。


タブレットを横に置いて実習中

2 旋盤や鋳造などでは手順や注意点を録画することで、繰り返しの視聴が可能になった。いずれはライブラリー化を目指している。

 実習では一般的に、教師が手順や注意点を実演して、その後生徒が反復練習を行っていく。タブレット端末を用いて手順を録画することで、一度ではわからなかった場合や、欠席した時でも生徒が繰り返し視聴することができるようになった。
 また、年度当初着任した教師が、自校での取組を予習することにも適している。
 このような取組は、沖縄県教育委員会の教育支援ビデオ「OPEN EV」のYouTube動画を参考にしており、見やすい角度だけでなく、肖像権を意識してなるべく生徒の顔を写さない工夫もしている。
 今後は、ベテランから若年層への技術の伝承も意識して、工業技術ライブラリーができたらと考えている。

見やすい角度を意識して撮影する
肖像権を意識して顔を入れない

3 調べてから質問するという習慣ができ、生徒の学びへの姿勢が変わった。

 生徒が「わからん!」と言う頻度やあきらめる場面が以前より減った。わからないとき、すぐに調べることができ、調べてから質問する習慣が定着してきている。生徒の学びに対する姿勢が変わったように感じられている。


疑問をすぐに調べ、授業が受けやすくなった

B 端末利用で可能になった“個別最適化”


4 資格検定試験に向けた補習では、Formsを利用した小テストで自己採点と苦手分野の指導を効率的に行えるようになった。

 「危険物取扱者試験」や「情報技術検定」など、資格検定に向けた補習では、Formsで小テストを行い、自己採点や正答率の把握、苦手分野の指導がとても効率的に行えるようになった。小テスト → 採点 → 苦手の把握 → 再指導 が短時間で可能となっている。
 また、履歴が残り、クラス内での順位などもすぐにわかるので、生徒自身が成長を感じやすく、モチベーションアップにもつながっている。
 一方で、計算系の問題や、記述式の問題はFormsでは対応しにくいため、従来型の紙による小テストも併用している。すべてをデジタルで行おうとせず、良いところを上手く活用するように意識している。


正答率を瞬時に表示できる

5 ClassiによるWebテストを導入し、基礎学力向上に向けた取り組みを継続している。

 以前から基礎学力向上に向けた補習を行っていたが、同じプリントを用いて一斉指導で行っていたため、個々の学習進度に応じた対応をすることが難しかった。そこで、Classiを用いることで個別最適な学びができるようになった。「1対40の授業」から「1対1が40組ある授業」へと変わっている。

手書きより楽で速い

6 就職試験のための面接指導は録画して生徒へフィードバックし、空き時間には企業のHPをチェックしている。

 面接の様子を撮影して自ら確認したり、他者との違いを比較したりする点は従来と変わらないが、生徒へ簡単に動画を渡せるようになったので、自宅でも見直すことが容易となった。
 また、企業HPをチェックさせやすくなり、懇談時にも利用している。さらに、一部企業では面接試験後の適性検査が遠隔実施となり、生徒は学校で受検することとなったが、特に問題はなかった。

7 MeetやZoomを使って、学校と他校や企業、学習寮をつないでいる。

 リモート配信を利用して、つながる場面も多くある。建築科は国道工事現場見学会に遠隔参加した。工業化学科では岡山大学の教授の講演を聞き、課題研究のチームに報告した。倉敷市立旭丘小学校との交流学習も遠隔実施できた。また、学習寮のWi-Fi環境を整え、休校期間中に通常授業をライブ配信することもできた。


【まとめ】

 『誠実は人間最高の善である』を校訓とする水島工業高校では「録画」「共有」「検索」「Forms作成」といった、端末のシンプルな操作方法を誠実に、確実に繰り返して成果を上げている印象を受けました。簡単なことほど取り入れやすく、長続きする、という見本のような取組が多く見られました。

 

 

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