【GIGA取材】新見市立新見南中学校で1人1台端末の活用状況を取材しました

新見市立新見南中学校で1人1台端末の活用状況を取材しました


【概要】
 新見市では、平成22年に総務省の「地域雇用創造ICT絆プロジェクト(教育情報化)事業」に参画し、新見市立高尾小学校の全児童及び教員へのタブレット端末配布、電子黒板設置などの環境整備やICT支援員の配置等、教育の情報化の環境構築推進の支援を受けました。
 平成23年には、総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」の指定を受け、実証校として新見市立哲西中学校がICT機器を導入、ICT支援員を実証校専任として確保・育成する等、教育の情報化の整備に取り組みました。その後、平成26年から新見市ICT活用教育推進事業により、哲西中学校での実証実験の成果を踏まえて、市内全中学校で「1人1台端末(iPad)」「電子黒板」「ネットワーク環境」「ICT支援員」というICT環境を構築する等、先進的に教育の情報化が進められてきました。
 さらに、GIGAスクール構想の実現で、無線LANネットワークを強化、今年度からは市内全ての小学校にも1人1台端末が整備されました。また、市内では教科ごとの授業研修会も継続的に行われるなど、相互に研修を深めています。
 今回は、他地域に先行してICT教育に取り組んできた新見市立新見南中学校の実践事例を紹介します。

 活用していたICT環境は、①1人1台端末(iPad)、②電子黒板。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 授業等における活用


1 【理科】「実験とパフォーマンステストでの活用」

・理科の授業では、グループ内で役割分担をして、実験の過程や測定結果などをiPadの機能「カメラ」「記録」「タイマー」等を活用して課題に取り組んでいた。生徒は筆記用具のように当たり前にiPadを使用しており、機器の活用が浸透していることがうかがえた。

実験中にiPadを有効に活用

・実験後はグループ内で分業し、データをレポートやプレゼンテーションにまとめていた。レポートはクラウドストレージに保存することで、生徒同士で共有でき、他の生徒のものを参考にして学習を進めることができていた。

画像やデータを共有し実験のまとめを作成中

・単元の終わりに班ごとに行われる「パフォーマンステスト」では、実験中に撮影した写真を用いて即興で説明し、教師からの質問に答えるといった双方向の活動が行われた。

・生徒は、実践を重ねるにつれ、学びのゴールが明確になっていき、目的意識を持った活動ができるようになり、表現力も向上した。

パフォーマンステストの様子

B  授業以外における活用


2 【家庭学習での活用】

・昨年度からiPadの家庭への持ち帰りを認めており、生徒は「週末課題」 や自主学習にiPadを活用している。

・週末課題はクラウドストレージに保存してあり、そこから教科フォルダを開いて課題に取り組むことができる。

・生徒は「自主学習の手引き」から、参考となる学習の仕方等をリンクから開いて読むことができる。

3 【学びの保障の実現に向けたICT活用】

・昨年度の一斉休校中には、各教科数本ずつ授業動画を作成し学校のホームページからアクセスできるようにした。

・ iPadに学習アプリやeライブラリからダウンロードした教材を入れ、オフラインでも学習できるようしている。

C  成果と課題


4 GIGAスクール構想の実現に向けて

・新見南中学校では、iPadの導入から7年が経ち、回線は増強されたが、機器 は更新することなく使用している。ICT支援員との連携が図られており、使いやすいアプリを探してくれたり、適切なアドバイスをくれたりするなど、生徒も教員も今あるもので工夫しながら取り組んでいる。

・新見市内の小学校、中学校は共にiPadで学習しているので、フリック入力の 生徒が多い。そのため、高等学校へ進学した時に他の端末への切り替えがスムーズにいかないことも予想されるため、発達段階や指導の系統性を踏まえた指導を取り入れていく必要性も考えられる。

・今後、遠隔で外とつながる等、さらに進んだ取組を行うことになれば、機器の更新が必要不可欠になる。その際には、今まで進めてきた基盤をもとに新しい可能性を開拓していきたいとのことである。 

音楽の授業ではiPadの音楽制作ソフト「Garage Band(ガレージバンド)」  を活用して作曲に挑戦

【まとめ】

 新学習指導要領で情報活用能力の育成が重視されていますが、新見南中学校では、教員も生徒もiPadを『道具』として使うことが当たり前になっていました。iPadを活用することで、授業中は書き写すだけで精一杯だった生徒も、考えることに時間をかけられるようになり、さらに、調べたり考えたりしたことを、より分かりやすく伝えるスキルも向上しているそうです。これも、日常的にICTを活用できる環境が整えられていることによる成果だと感じました。その中で職員は研修を重ね、生徒が積極的に学習したくなるような仕掛けを工夫していることがうかがえました。

単語の小テストにもiPadを活用

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