【GIGA取材】岡山県立玉野光南高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました

岡山県立玉野光南高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました


【概要】
 GIGAスクール構想実現に向けて玉野光南高等学校では、ギガの1000倍の「テラ」を目指していく意気込みと目標を「テラ☆光南」と名付け、Chromebook を文房具として思い切り使いこなすための取組を実践しています。また、新しい時代に必要となる力を育成するため、生徒と教職員が一体となり1人1台端末を活用した新たな学びを創造しています。その取組の一部を紹介します。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導における活用


1 1人1台端末を活用した生徒の学びに向かう力の育成

【普通科2年生の化学基礎「酸と塩基」の授業】

①【事前学習】前日までに課題としてClassroomに実験器具の操作方法等を解説した動画を配信し、生徒は自宅などで実験の意義と操作の方法について確認する。

②【実験操作の説明・確認】当日の授業において安全面での配慮が必要な部分を再確認する。

③【実験の実施】操作に自信がない場合は、教科書や動画で再度確認する。疑問があれば、Web検索なども用いて考える。

④【実験結果の共有】スプレッドシートにデータを入力し、他の班の結果と比較する。プロジェクタで投影し、共有する。

⑤【考察】実験結果をもとに考察を行うとともに、自分と他の班の結果を比較し、差異がある場合には原因についても考える。

スプレッドシートに実験結果を入力
プロジェクタに投影し全体共有

2 生徒が「教えること」で質の高い学びを生み出す取組

① 反転授業として、担当教員が事前に動画を作成し、Classroomに投稿する。

② 生徒は、問題の説明動画が記録されているQRコードを使って内容を確認し、次の時間に備えてグループのメンバーに説明ができるように予習する。

事前に説明動画を確認

③ 授業では複数の班に分かれ、それぞれプロジェクタとホワイトボードを使って互いに教え合ったり、問題を解き合ったりして学習内容を深めている。

問題の内容について説明
互いに解き方を確認・共有
各班の進行状況を共有

④ 生徒が主体的に学習活動に取り組む姿が増え、互いに教えることが質の高い学びにつながっている。

3 貸出用端末を活用した授業の取組(2・3年生)

・授業の参考となる動画を端末で見て、意見を集約し、個々の考え方をアウトプットする流れ。

・生徒は、授業課題に応じて思考を働かせ、ICTを積極的に活用している。

ICTを活用したアウトプットの工夫

・教員は、1人1人の生徒の主体的な学びの促進や端末を活用した効果的な学習活動を実現するために貸出端末を活用している。

貸出用端末

4 授業と家庭学習の一体的充実に向けた取組における反転学習を取り入れた実践

【スポーツⅠ(陸上)の授業】

①【事前学習】前日までに授業内容をClassroomで確認し、授業のゴールを見通す場面を設定する。

授業内容を事前に確認

②【授業のねらいと活動内容の共有】前回までの学習内容について簡単に復習、本時の活動内容の確認と参考となる映像(資料)を全員で共有する。

本時のテーマと内容を共有

③【授業のねらいに対する考察】本時のテーマに対して考察した内容をグループで共有する。

考察した内容を共有

④【考察した内容を検証・確認】実際に演技し、その様子をChromebookで撮影する。

演技を即座に撮影

⑤【フィードバックタイムと再試行】即座にグループで映像の確認と意見の共有、改善に必要な視点を踏まえ再度演技し、さらにブラッシュアップしていく。     
 ※各グループから意見を出し合う時間もある。
 ※参考映像を再度確認することもある。

フィードバックと再試行

⑥【授業の振り返りとまとめ】本時のテーマへの達成度・理解度の確認、各グループでの反省、授業のまとめを行い、最後に、家庭学習として個人の振り返りを行う際に使用する個人ノートについて説明する。

授業の振り返りと整理

⑦【事後学習】授業日の指定時間までにGoogleスライドに個人ノートを作成し、提出する。

Googleスライドを活用した個人ノート

5 「私の最高の勉強法プレゼン」の活動

・入学後すぐに、自分自身を振り返り、自分に向いている勉強法を探し、定期考査で実践する取組を行っている。

・学習過程の中で、自分でまとめた勉強法をグループで発表し、お互いの勉強法を共有する。

勉強法の振り返り・改善策提案

・教員と生徒が一緒に「授業を創っていく」ような、生徒の主体性を生み出す授業づくりを実践している。

情報の伝え方の基礎を学ぶ

B 発展的な取組を見据えたICT活用


6 思考力、判断力、表現力等の育成を目指す学習・指導方法の確立と評価方法の工夫改善【体育科】(教育課程研究指定校事業)

【2年目の成果】

・コロナの影響で計画を変更することもあったが、授業の目的を教員と生徒で共有して始めることができ、授業改善を進めることができた。

・指導と評価の計画を活用することで、これまで以上に「指導と評価の一体化」を意識した指導ができた。

・集計アプリを活用することで、学習カードを蓄積でき、授業改善につながった。

・2年目は生徒主体の活動を増やすことで、他者を意識した活動や会話が増え、男女共習の中で共生の意識を高めることができた。

参考:岡山県立玉野光南高等学校 研究発表資料一部抜粋

思考の可視化
授業の最後にプレゼンテーション
の実践で表現力と共生の意識づけ

【まとめ】

 玉野光南高等学校では、学校の課題解決に向けた取組を推進するため、生徒主体のICT活用を授業改善の柱とし、根拠となるエビデンス(数値化したもの)を共有することで教職員の意識の変化を促し、新たな学びの創造に向けた様々な取組を実践しています。例えば、研究成果に基づいて意図的な反転授業を行い、学校と家庭の学習活動をつなぐ仕掛けづくりや、生徒自身の勉強法から考察・実践させ、質の高い学びを生み出す授業づくりの工夫など、まさに一人一人の生徒が主役となる取組が印象的です。さらに、それらはICTの特性を踏まえた効果的な活用であり、夢の実現に向けて挑戦し続ける生徒の学びを支えるツールとなっています。これらの取組は、高い専門性を活かした先進的かつ多様性に富んだ実践であると感じました。  

 - 高等学校 理科, 保健体育, 情報, その他