矢掛町 吉備公ゆかりの地 下道氏の墓

動画の内容

古代の英傑・吉備真備公ゆかりの地。下道氏の墓は矢掛町東三成に所在する国指定の史跡です。元禄12(1699)年に東三成地内の丘陵地から吉備真備の祖母を火葬にし、その遺骨を納めた銅製骨蔵器が発見され、この地が下道氏の墳墓であることが判明しました。下道氏とは古代における吉備地方の豪族で、『古事記』や『日本書紀』にその名がみえ、「朝臣」の姓を中央から与えられた全国の52氏のうちの1氏でした。元来は大和王権の「西道」をおさえる吉備の権勢とされていたと考えられています。下道氏の墓が発見されたことやその他の遺跡や遺物の痕跡から、この一族が高梁川下流西岸の新本川・小田川の流域を中心に活躍した一族であることが分かりました。また、下道氏出身の学者であり、政治家でもあった真備とその子孫が吉備朝臣として中央貴族になることは著名な歴史的事実です。

さて、下道氏の墓からは銅製骨蔵器の他、納骨器や和同開珎などが発見されました。火葬をはじめてから、一定の敷地を定めて一族の人々を埋葬する今日の墓地形式が、奈良時代初期から始まったことを示す貴重な例です。また、近年の調査で銅製骨蔵器を覆っていた外容器が須恵質の大甕であったことが再度確認されました。当時の埋葬の風習を知る手がかりとして重要な役割を示すとともに、銅製骨蔵器に和銅元(708)年の銘がはいっていることから外容器の形の年代を特定でき、土器編年を考慮するうえでも貴重な考古資料といえます。

動画に関する本

「吉備真備の世界(岡山文庫)」 中山薫 (日本文教出版)

「吉備真備(人物叢書 新装版)」 宮田俊彦 (吉川弘文館)

動画に登場する「吉備真備公園」について

 小田川流域の矢掛町から倉敷市真備町にわたる一帯は古来より吉備真備(きびのまび)ゆかりの地として知られている。矢掛町では真備公の遺徳を偲んで、昭和63(1988)年、吉備公館址に隣接する丘に吉備真備公園を新たに整備した。
 吉備真備は、高梁川以西を拠点とした下道氏(しもつみちし)の出自で、奈良時代(約1300年前)に活躍した歴史上実在の人物。下道氏とは古代豪族吉備一族の中で最も栄えた氏族で、公園西方の丘陵地から真備の父である下道関勝(しもつみちのくにかつ)の母の遺骨を納めた骨蔵器(こつぞうき)が発見され、この地が下道氏の墓所であることが明らかになった。
 公園周辺には、吉備真備の産湯(うぶゆ)の井戸などがいい伝えられ、また、真備が唐の都から持ち帰った文物の一つである囲碁に因み、この地を「囲碁発祥の地」として顕彰している。この公園は地元町民の協力で美しく保たれ、平成19(2007)年には日本の歴史公園100選にも選ばれている。
【基本情報】
・住所:岡山県小田郡矢掛町東三成3872-2
・電話番号:0866-83-1265
・開館時間:9:00~16:00
・休館日:年中無休
・入館料:全施設無料
・ホームページアドレス:吉備真備公園|矢掛町公式ホームページ (town.yakage.okayama.jp)
・マップ:高梁川流域マップ (takahashiryuiki.com)