【GIGA取材】岡山県立岡山朝日高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました


岡山県立岡山朝日高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました
【概要】
岡山朝日高等学校では、「本質的な学力を獲得するとともに自己表現するための道具として校内外で活用」という方針を掲げている。
Chromebookの校内外での活用例をマトリックス図(下図参照)に落とし込み、全体の見取り図を作成して、生徒、保護者、教職員の間で共有している。
以下は、その活用の一例を紹介する。

【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】
A 教科指導における活用
1 定期考査・実力考査の解説動画を共有し、振り返りや反復学習に活用( Google Classroomや共有ドライブを活用)
・解説動画は、生徒のつまずき易い問題や質問の回数が多い内容を中心に作成しているため、生徒は、反復学習や振り返り学習が行える。教員は、発展的な内容を中心に質問への対応が できる。
・蓄積している解説動画は、良質な内容を中心に扱っているため、数年後においても実力をはかる教材として活用できる。
・GoogleのClassroomのストリームを活用することで、生徒はいつでも解説動画を参照できる 。
・教材配付用のGoogleドライブを活用し、複数の解説動画を構造的に整理し、対象の動画が検索しやすい。
・今後、教科書の例題や大学入試問題の解説動画の作成も予定している。(2・3年生はすでに作成済み。)

2 Google Classroomを活用した課題のやり取りや教材配付
Google Jamboardや学習アプリ等を学校や家庭で活用
・1年生の1人1台端末は 、情報で使い方や情報 モラルを中心に説明が行われた後、5月中旬から他の教科等での活用がスタートしている。
・英語、数学、公民、総合的な探究の時間等では、Google Classroomを使って、教材を配付したりオンライン課題のやり取りをしたりしている。保健等で は、Google Jamboardを使った効果的な思考の共有と可視化をしている。
・英語等ではChromebookに学習アプリをインストールした独自の活用をしている。

3 進路講演会など、校内外の行事等への参加の記録や報告をポートフォリオ化するため、Googleのクラウド上のグループウェアサービスの有効活用
・Google Formsとドキュメント、Classroomを連携させた効率的な仕組みを独自に構築している。
・生徒は、Google Classroomのストリームから該当のファイルを選択するとマイドライブにファイルが自動的に作成され学習履歴として継続的に保存することができる。Google Formsのファイルを添付する機能を使って、翌日にはレポートが提出できるようにしている。
・回収担当者は、効率的に全校生徒への課題配付、回収を行うことができる。

B 学習環境・校務の情報化
4 ICTを活用した行事の実施や会議等への参加に関する支援体制の構築が、学校全体の取組となり活用へつながる
・4月当初は、学校全体におけるICTの活用について戸惑う場面もあったが、推進体制を構築してからは、スムーズな活用が行えるようになっている。
・支援要請は、リーディング推進課に相談することからスタートし、ICT教育推進係、ネットワーク管理室(ハード系)ともうまく連携し、取組を進めている。
・各種配信のパターンに応じた準備と対応を行っている。

5 本校のニーズ・課題に即応する校内研修の実施
・ICTの利用に関して日々の先生方の困り感を吸い上げ、校内で研修ができるように準備をし、タイムリーな研修を全教職員に行っている。同僚が自分の工夫を講師となって広めることを基本としている。
・5月に、生徒の学びを止めないため、教職員全員を対象とした説明動画を作成する研修を実施した。1人1台端末を活用した、すぐに活用できる内容で、学校を休んでいる生徒へ授業動画を配信するなどの活用が進んでいる。

6 PTA行事や学年行事、進路講演会などにおける各種配信の充実(行事の内容に合わせた配信方法の選択)
・ZoomやGoogle Meet、YouTube Liveなどのメリットとデメリットを把握し、適時適切なシステムを選択して配信をしている。
・5月に、少人数で相互のやり取りが必要なPTA新旧役員会や2年生の保護者懇談会にはZoomを活用し、大人数が対象の第1学年合同保護者会には、1人1台端末を活用し、YouTube Liveを利用した限定公開による配信を実施している。

C 課外活動での活用と新たな取組
7 部活動における遠隔技術を活かした活用
・文学部が俳句の講師の方とリモートでやり取りをしている。
・数学同好会が中心となり、特別数学講座の中で、年間10回ほど、京都大学の名誉教授から大学レベルの学術的な探究について、生徒の希望に合わせながらリモートで実施している。
・茶道部が、将来アメリカ国務省に勤める全米トップ大学の学生たちと、茶道文化をテーマにリモートで交流している。

【まとめ】
岡山朝日高等学校では、3年ほど前から行われていた入試問題の解説動画の作成・活用が素地となり、コロナ禍での対応も全教職員で試行錯誤を繰り返しながら取り組むことで、ICTの効果的な活用につながっているように感じる。各教科の取組もさることながら、校内組織体制が全教職員に周知され、様々な学校行事や学習活動の中でうまく機能していることが、学びの深化への足掛かりとなっている。
今後、さらにICT活用の充実に向けて全教職員で取り組むことによって、岡山朝日高等学校が掲げているGIGAスクール構想で実現したい学び(本質的な学力を獲得するとともに自己表現するための道具として校内外で活用する)につながるのではないかと考えている。