おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】岡山県立岡山東商業高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました

 

岡山県立岡山東商業高等学校でのGIGA スクール構想推進の取組を取材しました


【概要】
 岡山東商業高等学校では、ICT活用で目指す学びについて「授業を通じた様々な学習活動や協働学習によるiPad活用の習熟」「ICT機器の積極的な活用による学習意欲の向上」「適切なアプリ等の活用による個別最適な学び」「体験活動や探究活動におけるICT活用(調査、レポート等)による主体的な学び」の4つの柱を掲げている。これまで8年間に渡って取り組まれてきたICT(iPad)の活用 が、1人1台端末の実現によって大きく進化している。その取組の一部を紹介する。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導における活用


1 ロイロノート活用に向けた歩み

・8年前からiPad上で本格的にロイロノートの活用を開始し、主な取組として理科の実験において、補助的に説明動画や資料を提示している。一度の説明では理解が難しい生徒でも自分のペースで繰り返し確認・閲覧できる 。

・5年前からは、有料版のロイロノートを活用し、タブレットだけで学習を完結させないようにしている。ノートやプリントに書いた考察やまとめを写真機能で撮影し提出させることで、アナログとデジタルのそれぞれの良いところをうまく取り入れる工夫を行っている。        


2 思考の可視化やクラス全体への成果物の共有などによる、思考力・判断力・表現力の育成

・ロイロノートは操作に対する指示がほとんど必要なく、直感的な操作が可能で、学習内容に集中できる。

・1人1台端末の導入によって、個人やグループでの思考後、成果物を共有し、クラス全員に対して瞬時に可視化することができる。

・生徒はiPad上に共有された複数の成果物を見ながら、授業内容の理解を深めたり、相互評価したりすることができる。

・教師・生徒間だけでなく生徒同士でもロイロノートの中でデータを共有し、発表に向けてプレゼン資料等を作成することができる。

・授業の中で、生徒の回答をロイロノートの写真機能で撮影し、全体で共有しながら答え合わせができる。

・「総合的な探究の時間」においては、各自の課題解決に向けて、「調べる」、「まとめる」、「発表する」の一連の学習活動で統合的に活用できる。

・商業科の授業では、ロイロノートの小テスト機能を使い、回答結果のリアルタイム表示での理解度確認ができる。自動採点により採点時間も短縮できる。



3 商品開発の授業で、学校キャラクターを活用した「高校入試合格祈願文房具」の開発

・科目「商品開発」(3年生)の授業では、既習内容を活かしながら実際に商品の開発に取り組んでいる。
①商品の構成要素に関する情報収集の場面では、ロイロノートのWeb検索機能を利用して、クラウド上に収集したデータを蓄積する。
②考案した商品アイデアを説明するための資料作成では、収集した情報を元に、ロイロノート上で提案シートを作成する。
③作成した資料を用いた発表会では、発表に用いる資料は、プロジェクターに投影するが、各端末にも画面配信する。細部まで見る必要がある商品設計図は、発表時に画面を拡大し、ポイントとなる部分に注目させる 。

B 推進体制の整備と校務への活用


4 「デジタル室」を中心としたICT推進体制と研修の充実が、学校全体の取組となり活用につながる

・今年度から「デジタル室」を立ち上げ、各学年に数名ずつ担当者を配置し、ICTの活用の推進と実践を行っている。

・ロイロノート・スクールの基本操作やGoogle Workspace演習など、オンライン研修などの外部講師も活用し、テーマを絞った研修を年間で14回程度行い、校務の合間を縫って教職員のスキルアップとICT活用の意識向上に努めている。

・学校内のグループウェアサービスを使い、校内研修案内などの情報について効果的な発信を行っている。

・職員会議は1学期の途中から、朝礼連絡は2学期からペーパーレス化を実践している。


5 教職員の「学び合う」「助け合う」風通しの良い環境、安全・安心 なネットワーク環境整備に向けて

・ICTを活用した学習効果や成果をイメージすることが難しい場合も多いため、若手教員が率先してロイロノートを使った授業での効果検証を行い、その成果を踏まえ、職員室では、教職員の「学び合い」「助け合い」が広がっている。

・時間割によって集中的にICT 端末を使用する場合のトラフィック増加によるトラブル対応として、ネットワークの負荷軽減に向けた原因究明や検証作業などを「デジタル室」を中心に組織的に行っている。


6 保護者面談日程調整の簡略化

・教員側が日程調整する必要がなく、保護者が変更してもすぐに反映されるため、直前でないと都合が確定しない保護者にも対応できる。

・生徒各自のGoogleカレンダーに反映されるため日時忘れ等も少なくなり、働き方改革につながる取組である。


C 教育活動全体を「つなぐ」活用


7 朝の10分間の学習時間(朝学)を使ったEnglish 4 skills の活用と検定に向けた解説動画の配信

・英語4技能をオンラインで学習できるアプリ「English 4 skills 」を導入し、診断結果に基づいて各自で取り組む級を設定させ、生徒一人一人にあった学習を進めている。

・実用英語検定や全国商業高等学校協会主催の英語検定の対策として、朝学と家庭学習をつないだ取組を進め、教師は生徒の進捗状況を確認し、個別に助言し効果的な取組を促している。

・珠算・電卓実務検定や情報処理検定の合格に向けた朝学でも、端末を活用した説明や演習を行っており、教師の解説を各教室に配信している。解説動画はGoogle Classroom で繰り返し確認できるように工夫している。

・会計サポートを活用した 、日商簿記3級の解説動画を使った予習・復習が可能である。理解を促進するために、授業だけでなく自宅学習にも応用している。



8 健康観察や各種アンケート、緊急連絡などでの活用

・Google Forms などを利用し、生徒一人一人の健康状況を蓄積し、学校全体で共有することで、体調の変化が把握できるため、過去の健康状態と照らし合わせて病気を未然に防ぐことも可能。また、各種アンケートについても積極的に自動化することで、集計の手間や日程調整を軽減し、働き方改革につなげている。

・各クラスや部活動においても、Google Classroom を資料配付や連絡ツールとして活用している。また、部活動については、スケジュール(振り返り)手帳も活用し、アナログとデジタルの双方のメリットを生かした取組をしている。


【まとめ】

 岡山東商業高等学校では、8年前から取り組まれているロイロノートを使った生徒の主体性を育むiPadの活用や研究成果をもとに、GIGAスクール構想実現に向けて、全教職員が様々な場面において「学び合い」や「助け合い」ができる風土を大切にし、1 人1台端末の導入における新学習指導要領の着実な実施と、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた授業改善の取組を進めている。また、ICT端末の利活用に向けて、学校全体で取り組むための推進体制づくりや校内研修の工夫や充実を図り、教職員の日々の困り感を軽減する取組をしている。これらの取組によって、岡山東商業高等学校が目指しているGIGAスクール構想で実現したい学び(4つの柱)につながるのではないかと考えている。

 

 

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