おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】岡山県健康の森学園支援学校のGIGAスクール環境を活用した教育の情報化の取組を取材しました

 

岡山県健康の森学園支援学校のGIGAスクール環境を活用した教育の情報化の取組を取材しました


【概要】
  岡山県健康の森学園支援学校は、小中学校で1人1台端末等のICT活用に関する、文部科学省・総務省の実証実験が行われた教育の情報化の先進的地域である新見市にあります。2011年からiPadを導入し、特別支援教育の観点での個に応じた支援の中でICT活用を進めてきました。個別の学習でのアプリの活用や一斉指導における説明場面でのスクリーン投影型のICT活用について、多くの実践が積まれています。
 GIGAスクール構想の推進に関する環境整備では、校内のWi-Fiや1人1台端末、教育クラウドの整備が進み、それまでの実践に加え、Web会議システムや教育クラウドを積極的に活用した新たな取組が広がっています。
 今回の取材では、このGIGAスクール環境を有効に活用した新たなICT活用の様子を取材しました。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 遠隔技術の活用


1 感染症対策による学校行事でのリモートの活用

【参観週間】
・参観週間の取組を感染症対策としてリモートで実施している。保護者の希望に より1週間の参観期間中の学校生活や寄宿舎生活を選んで、児童生徒の様子を参観できるようにした。健康の森学園支援学校は県内全域を学区としており、遠隔地から登校している児童生徒も多く、普段参観日に参加できない保護者や家族も参観することができ、好評だった。

【学校説明会】
・進学や見学の希望者を対象とした学校説明会をリモートで実施している。学部での授業や寄宿舎での日常生活の様子の紹介や進路相談をリモートで実施することにより、コロナ禍でも、中止することなく計画通りの学校説明会を実施することができている。


2 児童生徒の活動の中でのリモートの活用

【学校間交流】
・市内の学校との学校間交流をリモートで実施している。初めて行った昨年は、プロジェクターを使い、交流校と大画面でつないだが、今年度の交流では大画面だけでなく、1人1台端末を使い、個々の顔が見える状態でつないだ。顔が見えることにより、児童生徒が交流をしているという臨場感をより感じることができた。休憩時間もお互いに話しかける場面があり、授業時には見ることができない自然な関わりを見ることができ、リモートならではの効果もあった。中学部では作業学習で、花の苗のポット作りを一緒に取り組んだ。

【訪問教育】
・小学部では、訪問教育での授業を、リモートを活用し学校とつないで合同で実施している。同学年や同世代の友達との交流の少ない訪問教育生にとって、経験を広げる新たな取組となっている。

寄宿舎
・3棟ある寄宿舎では、全員が集合することが難しいため、寄宿舎間の打合せだけでなく、行事も全てリモートで実施している。



3 校外機関との連携での活用

・感染症対策のため校外との交流が難しくなり、積極的にリモートを使い、会議や交流の場を確保している。校外実習での企業の方との打合せや児童生徒への助言、各職場への教員の巡回、地域のセンター機能としての専門指導員による教育相談、ALTによる外国語指導等、コロナ禍でも活動を止めない工夫をしている。

B 授業での活用


4 写真機能の活用

・児童生徒が1人1台端末(iPad)を学習の中で最も活用するのは、写真機能である。小学部の児童も自分で写真を撮ることができ、撮った写真を使って発表したり、学習内容の振り返りに活用したりしている。写真を使っての発表は、説明や感想がより具体的になり、児童生徒の表現力が豊かになっている。


5 自己管理のツールとしての活用

・高等部では各自の端末を使って、スケジュールの管理を行っている。毎週の予定を確認して、必要なメモや資料も端末に保存している。生徒が日常的に使いこなすことにより、校外実習や卒業後の社会生活での自己管理のツールとしての活用も考えられる。


6 コミュニケーションロボット

・iPadを使って遠隔操作でコミュニケーションを取ることができるロボット「OriHime(オリヒメ)」を活用している。行事に参加できない児童生徒がロボットを使って、教室にいながら校外学習に参加したり、離れたアンテナショップの店員として接客をしたりする学習を行っている。Web会議システムでの交流と違い、ロボットになりきり、言葉だけでなく手や頭などの動作を使い、自分の分身としてどこでも行くことができる体験は児童生徒にとって、新たなコミュニケーションの体験となっている。


7 教材データベース「けんもり教材」

・感染症による休校対策として、授業での教材や自習用の動画を、教材データベース「けんもり教材」として、Web上で公開している。リモートと組み合わせることにより、遠隔授業や家庭学習、自主学習で活用することができる。今後も感染症や災害による休校や出席停止が考えられる中、様々な授業形態を想定した準備をしておくことは、学びを止めない観点からも重要なことである。

C 校務での活用


8 教育クラウドを活用したペーパーレス会議

・Googleドライブを活用したペーパーレスの取組を行っている。教員の1人1台端末を活用し、会議の資料をPDF形式のデータで共有することにより、資料準備や保管に効率化が図られている。今後、寄宿舎を含む教職員全員への端末整備が進めば、スケジュール機能等を活用することで、勤務時間の異なる、学部と寄宿舎の職員間での情報共有や連携のツールとしての活用も考えられる。


9 積極的な情報発信

・校内の取組や様子について積極的な情報発信を行っている。また、寄宿舎を持つ支援学校として保護者からも情報発信へのニーズが高い。学部間で分担し、学校の様子については、ホームページ、ブログ、Facebook、メールマガジン(要登録)で、毎日昼夕の給食のメニューについてはTwitterで紹介している。


【まとめ】

 GIGAスクール構想以前から積極的に授業の中で効果的なICT活用を進めてきた健康の森学園支援学校ですが、さらに環境整備が進み、遠隔技術の活用を中心に、幅広く様々な授業や業務の改善を進めている様子を伺うことができました。遠隔技術の活用は、感染症対策の側面が大きいのは確かですが、時間と距離を縮めるICTの活用は、児童生徒の体験や経験、新たなコミュニケーションの場になっているのではないでしょうか。また、積極的な情報発信による学校経営への好影響も感じられました。
 GIGAスクール構想の推進には、各校が同じ実践や目標で進めるのではなく、それまで抱えてきた課題そのものに対し、教育の情報化の推進がどう寄与できるか、という視点の大切さを感じました。

 

 

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