【GIGA取材】赤磐市立山陽小学校でのICT活用の実践状況を取材しました

 

赤磐市立山陽小学校でのICT活用の実践状況を取材しました


【概要】
  山陽小学校における授業での1人1台端末の活用は、5・6年生を中心に進められていました。中でも教科担任制も始まっている6年生の活用状況を中心に取材しました。そのほか、校務でのICT活用の様子もお聞きしました。
 活用しているICT環境は、①1人1台端末(Windows)、②Microsoft Teams ③ Microsoft Office365 ④ベネッセミライシード ムーブノート、⑤東京書籍タブレットドリル、⑤スズキ教育ソフト キーボー島など。


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導における活用


1 【各教科】Microsoft Teamsをポータルとして活用

 各クラスのTeamsの中に、日にちで分けたチャネル(チーム内の専用セクション)や、各教科、係活動などのチャネルを作り、学習で使う資料や何度も活用するファイルを共有している。チャネル内のファイルを開くことで、児童も教師もいつでもファイルを確認できる。また、高学年の教員同士が情報を共有できるTeamsもあり、授業の資料や授業で活用するアンケートなどの情報も共有している。デスクトップにTeamsのショートカットを設定しておくことで授業の開始時にすぐに始めることができる。Teamsをポータルとしてそこから他のソフトウェアへつながるようにしておくことで、スムーズな授業展開ができる。


2 【国語】共同編集機能を利用した授業づくり

 手書きとタブレットの両方を活用できるように、それぞれのメリット、デメリットをクラスで共有している。調べ学習のまとめのレポート作成では、1人1台端末で共同編集を行うことで、チームで相談しながら作成ができた。完了したチームはTeams内で提出することで、データでのやりとりが可能となり、学習の効率化と同時に管理も容易になった。完成したレポートは印刷して教室に掲示することで、お互いのチームの作品を見比べたり、参観日などの機会に保護者にも見てもらえるようにしている。


3 【国語】ムーブノートを用いて感想や考えを共有

 ベネッセミライシードのムーブノートでは、個人思考したお互いの意見を瞬時にクラス全体で共有することができる。これを利用し、筆者の独特な表現に対してどんな情景が浮かぶのか、コメント機能や拍手機能を用いて意見を交換したり、共有したりしている。うまく表現できない児童や言葉が思い浮かばない児童もそれらを足がかりに自分の思いを持つことができた。また深い学び機能を使うことで、意見の変容や深まりを視覚的に確認でき、そこからどうしてそう感じたのか発表・共有することができた。発言が苦手な児童にも非常に有効であった。 
 また、高学年に導入された教科担任制指導の特性をいかした授業づくりとして、他のクラスと意見を共有することで、お互いにコメントを書いたり、新たな着想を得ることができた。1時間目にA組、2時間目にB組で行った初発の感想を、次の日に全体で交流し、共感できる意見には拍手機能を用いるなどして一度に多くの考えにふれさせることができた。


4 【国語】デジタルとアナログを併用した授業づくり

 じっくりと考える時には、まずは自分のノートに書く方が思考がまとまりやすい。その後ムーブノートに入力したり、写真で共有したりすることで自身の手元に資料を残し、なおかつ考えを整理して表出することができる。また、作文のような長文を推敲する際や、とにかくたくさんの考えを出すようなブレインストーミングでは端末を使うと作業が早く、それぞれのメリットを活用した授業づくりを行っている。


5 【基本操作】文字入力が苦手な児童への配慮

 Teamsにスズキ教育ソフトのタイピング練習ソフト「キーボー島」のチャネルを作成しておき、隙間時間にはいつでもタイピングの練習ができるようにしている。


6 【ドリル学習】タブレットドリルを有効に活用

 タブレットドリルを活用して、決まった曜日の朝の時間や隙間時間に学習の定着を図るようにしている。一斉に同じプリントを行ったり、児童が自分に合ったプリントを選択して取り組んだりしている。教員は児童の取組の進捗状況を一目で確認できる。


7 【各教科等】Microsoft Formsを活用した振り返りやアンケート

 授業前に行うアンケートや、単元末での振り返りなどにFormsを活用している。学級活動でクラスの思いを聞きたい時や、学校行事の後の振り返りにも活用することができる。

B 学習環境やルール、校務の情報化


8 【学習環境】バックアップを想定した授業づくり

 各クラスが一斉にネットワークを使用することで一時的に通信状況が悪くなることがある。そのため、紙のノートでの作業に変更できる用意をしている。また、使用できる児童のタブレットが数台ある場合には、それらを共有した授業展開ができるように、デジタルワークシートを工夫しておくなどの不測の事態を想定した授業づくりを行っている。


9 【ルール】タブレット使用のルールを児童と共有

 タブレットを使う際に生じる、チャット機能や動画の閲覧について校内でルールを作り、運用している。情報担当教員を中心に他校や自校のトラブル事例をもとにルール作りを進めるとともに、児童とルールを共有している。


10 【校務の情報化】Teams共同編集を利用した学年会議

 共同編集機能を使用しながら学年会議を行うことで、リアルタイムに情報を編集、共有でき、迅速に業務を進めることができている。紙の方がよい場合と、共有したデータを直接編集する方がよい場合とがあり、その時々で効率的な方法を考えて使用している。


【まとめ】

 タブレットを使う時間帯や使い方などを、児童と一緒に考え、活用してきたことで、児童の中にもタブレットは授業の中で学習のために使うものだという意識が育っていました。どの教科の、どの単元で、どの機能を使えば効果的か一緒に考えながら進めているとのことでした。特に教科担任制で行っている教科については、学級内での意見の共有だけでなく、学級を越えた意見共有も行われており、児童の考えを広げる助けとなっていました。低学年での活用には、高学年のノウハウがそのままでは活用できないので、これからも思考錯誤しながら取り組んでいくとのことでした。

 

 

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