おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】新見市立萬歳小学校でiPadを活用した授業を取材しました

新見市立萬歳小学校でiPadを活用した授業を取材しました


【概要】
 新見市立萬歳小学校では、すべての学年で積極的にICTを取り入れた授業が行われています。小規模校における1人1台端末の効果的な活用による学習意欲の向上や、合同遠隔授業で児童の学びを広げる取組について紹介します。
 活用していたICT環境は、①1人1台端末(iPad)、②電子黒板、③プレゼンテーションアプリ(keynote)、④プログラミング教材(Sphero BOLT)、⑤人型ロボット(Pepper)、⑥Web会議システム(Zoom)。 


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 写真アプリの活用


1 【生活科】「アプリを使った植物の観察カード作成」

・2年生では、朝顔の観察カードを作成する際、端末のカメラ機能で撮影した写真に気づいたことを書き込んだ。暑い時期の屋外での活動は、熱中症への配慮が必要だが、短時間で観察することができ、集中することが難しい児童や、絵を描くことが苦手な児童も、写真を活用することで教室で落ち着いて細かい部分まで詳しく観察することができた。

・夏休みに朝顔と端末を持ち帰らせ観察を継続させたところ、工夫して写真を撮っており、児童の端末操作のスキルの上達が予想以上であった。また、写真や文章から「自分が発見したことを先生に伝えたい」という気持ちがあふれており、児童の学習意欲の向上につながっていたことがうかがえた。

・発表会では、児童が見つけた成長の記録を大型提示装置で全体に提示し、葉や花の部分を拡大したり全体の様子を映したりするなど、自分の感じたことや学んだことを工夫して表現し伝えることができた。

・授業者は「低学年における観察記録は、絵と文章によるものが主流であったが、自分の見たままを絵で表すことは難しく、授業時間の増加、意欲の低下などの問題があった。iPadをを活用することで、気づいたことや発見したことを容易に観察カードにまとめることができるようになった。学習意欲も向上し、時間の短縮にもなった。」と手応えを感じていた。 

朝顔の記録にiPadを活用
朝顔の全体と部分の両方を撮影

2 【国語】「プレゼンテーション資料の作成」

・6年生の単元「私たちにできること」では、身の回りの問題について、具体的な事実や考えをもとに、自分たちができることを提案するという学習に取り組んだ。

・情報を集める際に、カメラ、スクリーンショット機能を活用することによって、調べたことをノートに書き写したりコピーしたりといった児童の活用を効率化することができた。

・集めた情報に必要なことを書き込んだり、重要だと感じたところに線を引いたりしたものをクラウドストレージに保存することでグループの中で情報を共有していた。

・調べたことをまとめて発表することが苦手な児童もiPadを活用することによって意欲的に活動ができた。

自分たちができることを発表会で提案

B  プログラミング教育


3 【生活科】「Sphero BOLTのコースを作る」

・2年生の参観日には、アプリ対応のボール型ロボット「Sphero BOLT」を活用し、児童が先生役となり保護者にプログラミングの楽しさを感じてもらう授業を実施した。どのような動きやコースを考えたらよいか、保護者に分かりやすく伝えるにはどうすればよいかなど試行錯誤していた。

・ボール型ロボットを目的とする方向に動かす際は、2年生では未習の角度や速さについての知識が必要であるが、児童は「90度」や「270度」といった角度を体験を通して理解することができていた。

保護者とペアでプログラミングに挑戦

C  遠隔授業における活用


4 【国語】「音読発表会」

・2年生の国語の授業で、同じ中学校区にある新砥小学校の児童とZoomを使った遠隔合同授業を行った。自己紹介をし、「たんぽぽのちえ」の音読をそれぞれ披露した後、一人ずつ感想等を発表し、最後に各担任がお勧めの本を紹介した。

・小規模校では、多様な考えに触れることや、他者に対して自分の考えを伝えるといった社会性を養う機会が少ないという課題があるが、このような合同遠隔授業を重ねることで、児童のコミュニケーション力も向上すると考えられる。

・萬歳小学校は、令和4年度末に学校統合が予定されている。これから、新しい環境での生活への見通しを持ち、不安解消の一助にもなると期待されることから、統合先の本郷小学校との合同授業も計画している。

画面を通してお互いに音読を披露

【まとめ】

 先生方にお話をうかがう中で「こんなことがしたいというアイディアが、たくさんあるんです。」という言葉が印象的でした。先生方の「児童にこんな力をつけさせたい」という思いが授業へのエネルギーとなっていることが伝わってきました。また、それらのアイディアを活かした「ICTを使うことが目的になっているのではない」質の高い授業は、‶授業のプロ“ の先生方が ‶ICTのプロ” のICT支援員に相談して、それぞれの強みを生かしながら、うまく連携されているからこそ実現できていると感じました。 

 多くの学校で課題となっている文字入力については、手書きだけではなく入力で行っている学年もあり、まだ学習していない漢字でも予測変換の中から正しいものを選んで使って文章を書くなど、「書くことはできないが、読んだり選んだりすることはできるので漢字を使いたい」という気持ちが表れていました。また、文章ではなかなか表現できないことでも、画像ではすぐに伝えられるということを生かし、「先生にこんな面白いことがあったと伝えたい」という、読んだ相手の表情を想像して書いた写真絵日記など、ほっこりするようなエピソードもたくさんお聞きすることができました。  

 iPadは直感的に扱うことができ、低学年でも目的をもって操作する体験を通して、どんどん上達していて驚くほどだとお聞きしました。
 また、苦手意識を感じている活動にも主体的に挑戦し、生き生きと取り組んでいる児童が見られる場面も多くあるそうです。苦手なことがICTでサポートでき、本人の学習意欲が高められるということは、個々の児童の実態に応じて有効に活用できているということだと思います。
 ICTはあくまでも‶道具“であり、効果的な使い方には教師の思いと力量によって大きな差が生まれるということは、従来のアナログの授業と変わらないと思います。まずは教師も児童も楽しみながら挑戦してみることが大切だと感じました。

5・6年生 総合学習
PepperとiPadを活用した学習発表会に向けて「SDGs」について調べ学習中。

 

 

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