おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】倉敷市立精思高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました

倉敷市立精思高等学校でのGIGAスクール構想推進の取組を取材しました


【概要】
 精思高等学校では、「社会の中でしっかり生きていくための意欲と自信を持った生徒」を育成することを目標に、多様な生徒一人ひとりに応じたきめ細かい学習指導が行われ、分かる授業に重点を置いた様々な取組を実践しています。そこでは、短焦点型プロジェクタを全普通教室に早くから導入した学校として培ってきたICT活用のノウハウが随所に活かされています。GIGAスクール構想実現に向けた、その取組の一部を紹介します。
 活用していたICT環境は、①1人1台端末(Chromebook)②教師用端末(Chromebook、iPad)③Google Workspace for Education Fundamentals(Classroom、YouTube、スライド、Forms) ④アンケートアプリ(Mentimeter)⑤各生徒個人端末(スマートフォン)⑥ビデオ会議システム(Zoom)⑦貸出用端末(iPad)など 


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A 教科指導における活用


1 既存の教育資源を活かした学びをとめない取組

・2年前から授業におけるスマートフォンの効果的な活用を始めた(未所持の生徒は貸出用端末で対応)。

・「学びを止めない」観点で、休校対策としてスマートフォンを使った家庭学習に取り組んでいる。

・休校対策では、授業動画を単位数に合わせた週2回以上のオンデマンド配信とし、視聴する端末の特性や健康に配慮したコンテンツ作成を心掛け、目標や活動を10分程度にまとめた内容としている。

デジタル化された授業コンテンツの活用

・全教職員が効率よく動画作成ができるように、PowerPointで作成している既存の授業コンテンツを動画化する方法を共有し、作業効率を高め、タイムリーな配信に努めている。

授業コンテンツ作成手順の共有化

・令和3年8月以降は、倉敷市から生徒に1人1台端末が貸与され、授業中のアウトプットの場面に活用できる幅が広がり、授業が活性化している。

 アンケートアプリを活用した学習活動の活性化

・国語表現の授業では、Mentimeterの投票機能を活用して、アンケート結果をリアルタイムに視覚化し、教師と生徒が一体感を味わえる授業を展開している。

・匿名で表現できるツールを利用するため、他者を意識することで主体的な取組に消極的だった生徒達が、チャット感覚で安心して質問や投稿ができ、授業中の前向きなやり取りが増加している。

・他者からのフィードバック(コメントや反応)の機会が増えることで、発信することの大切さを感じるとともに、自分の作品や成果物をブラッシュアップすることへの足掛かりとなっている。

生徒の思考を匿名性を活用し可視化
瞬時にグラフ化し思考を止めない学び

3 学校と家庭をつなげる自学自習の取組

・放課後のすき間時間を使い、生徒の主体性を重視した学びとして、数学科と英語科中心に補充的な要素を含んだ問題演習に取り組んでいる。

・数学科は精思高校数学検定として小学校から高校までの幅広い難易度の問題をFormsで出題し、レベルに応じた習熟度別学習に取り組んでいる。

・英語科は、英語4技能をオンラインで学習できるアプリ「English 4 skills」を使って、生徒一人一人に合わせた学習を進めている。

個別に最適化された課題に挑戦

4 生徒が主体的に取り組む SDGs の取組

・2011年から、被災地支援(チャリティバザー)、地域の防災拠点としての支援、廃棄物の削減支援、防災に関する教育支援などの活動に全校生徒で取り組み、 2020年度には、「おかやまSDGsアワード2020」において入賞している。

・ICTを利用した実践では、課題解決に向けて学んできたことや調査した結果などを活かして、自分の考えを文章でまとめ、調べたことを根拠に表や図にまとめたり、グループでお互いの考えを共有化したりするツールとして活用している。

・商業科の「開発商品の販売」の授業では、地元の企業と連携して商品化し、収益を寄贈する実習を行っている。生徒は、社会の問題を自分事としてとらえ、課題解決に向けた活動を経験する過程で、ICTの効果的な活用法や課題解決に向けた継続的な取組の重要性に気付き、主体的に取り組んでいる。

成果発表会の様子
表彰式の様子
生活用品の回収と提供

5 クラウド上のコンテンツを利用した学びの継続と情報発信

・YouTubeチャンネルを開設し、「簿記」の授業の内容や解説動画、学校行事や学校オリジナルコンテンツなどの配信を行っている。

・広報活動の一環として、中学生向けのコンテンツを公開している。

・今後、生徒作品なども随時配信する準備を進めている。  

配信コンテンツの活用
(YouTubeチャンネル)

B クラウド活用を促す環境整備と研修の充実


6 ニーズに即した組織的な取組と研修

・教務課の情報係(3名)を中心に、クラウド環境を前提とした1人1台端末の導入・運用管理・研修を行っている。

・生徒のChromebookは、保管用のキャビネット内で管理・充電しているため、導入から大きな故障や破損もなく運用できている。

・1人1台端末を利用するための端末の扱い方や情報モラル指導について、全校生徒を対象に実施している。

・小規模校である特徴を生かし、教職員の困り感に対して即座に対応策を考え、提案→研修→実践の取組をスピード感を持って行っている。

・休校対策についても、非常勤講師を含めすべての教職員で研修を行い、共通認識を持って対応している。

・市立の学校間で研修会を実施し、各学校の実践例やノウハウなどを水平展開し、取組を更に推進していく研修を行っている。

教職員研修資料
全校生徒対象の使い方講座

C 地域とともにある学校づくりを目指した連携


7 「つながる授業」を通じて実社会への対応

・「外部の利害関係のない大人と触れ合う取組」として、1~3年生までの3年間、生徒3名が1組となり総合的な探究の時間を活用し、大人の考え方や思いなどに触れ、社会人との関わりによって学びを深める取組をボランティアの方々の協力を得て継続的に実施している。

・生徒は1人1台端末を活用し、外部の方との交流内容を整理・表現したり、Zoomを使って遠隔交流を行ったりすることで、コロナ禍でも以前と同じように外部の方と生徒が個別に交流する授業が可能となっている。

・社会生活に不安を感じている生徒も、実社会における体験談などを見聞きし、その学びを3年間蓄積していくことで、社会に向き合う態度が前向きなものに変化している。

Zoomを使った交流の様子

【まとめ】

 精思高等学校では、「自主・英知・実践」の校訓のもと、一人ひとりに応じたきめ細かい学習指導を行い、分かる授業に重点を置いた取組が進められています。その理念は「1人1台端末活用」の実践にも引き継がれ、教育資源を最大限活用したコンテンツ制作と発信、生徒の主体的な学びを支援するICT活用の工夫などの取組として表出しています。社会と生徒の要請に即応した組織的で柔軟な対応が印象的でした。 

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