おかやまICT活用実践事例集

【GIGA取材】岡山県立笠岡高等学校でのGIGAスクール環境を活用した教育の情報化の取組を取材しました

GIGAスクール環境を活用した教育の情報化の取組を取材しました。


【概要】
 笠岡高等学校では、 新しい知や価値を創造していくために必要な力の一つとして「未来開拓力」の育成と、生徒の主体的な学びにつながる効果的なICT活用を一体的に実現するために、①誰一人取り残すことなく公正に個別最適化された学びを提供し、資質・能力を一層確実に育成する、②主体的・対話的で深い学びの更なる充実に向け、教員・生徒の力を最大限に引き出す、以上、2つの柱を目標に掲げ、全教職員が一丸となって取り組んでいます。その一部を紹介します。
 活用しているICT環境は、①1人1台端末(iPad)②教師用端末(iPad)③Google Workspace for Education Fundamentals(Classroom、YouTube、ドライブ、スライド、Meet、Forms、Jamboard) ④デジタルノートアプリ(GoodNotes) ⑤Apple TV、Apple Pencil など


【教育の情報化の推進に関する活用のポイント】

A ICTを活用した取組の様子


1 個人および協働的な学習でGoodNotesの活用

【普通科1年生のコミュニケーション英語Ⅰの授業】

①【音読練習】学習したレッスンパートを全体練習ののち個人で音読練習。

②【デジタル教材を利用した個人学習】共有ドライブに保存してあるプリント(パート全体の本文について、1文につき2~3ヶ所を空欄にしたもの)をGoodNotesに取り込ませる。Apple Pencilを用い、色は黒色でプリントの空欄を個人で埋める。内容を思い出すのに時間がかかったり、綴りに自信がなかったりする場合、印(△など)やマーカーで色を付けさせる。(印があった箇所は後の家庭学習で重点的に復習させる。)

③【ペア学習】②で取り組んだ空所補充に不明な点がある場合、ペアで相談し合う。協力することで解答できた場合、色を変え(青色)、記入する。

④【答え合わせ】教科書やノートを見て解答を確認し、赤色で直していく。

⑤【振り返り】何が原因で解答できなかったのか分析させ、家庭での復習に取り組ませる。

2 総合的な探究の時間「地域学」 × 1人1台端末の活用

・1年生の地域学(地域探究活動)では、笠岡市役所の協力を受け、笠岡市を舞台に、実際に各研究テーマのグループで駅前や北木島などの市内各地を現地調査するなど、地域課題の解決に向けて探究活動を実施している。これらの学習場面に1人1台端末をうまく活用することで、学びの質が高まり、探究活動の活性化につながっている。

・笠岡市長や笠岡市役所の職員から笠岡市の現状や市が抱える諸課題についての講演を聞き、生徒は、iPadに配信された資料に適宜メモを取り、理解を深めた。

・福山市立大学都市経営学部の教授から探究活動を行う上で必要となる方法を学ぶための講習会をオンラインで実施し、探究活動における情報収集の手法や課題の設定方法について学んだ。 意見やアイデア等をまとめたり整理したりするためのブレインストーミングとKJ法について、iPadでJamboardを使うことによって、多くのアイデアを出し合うことができ、より質の高い学習活動となった。

・12月の発表会に向けたポスター作成において、iPadの活用が、1「必要なデータの整理やまとめ」、2「生徒独自の創意工夫を凝らしたコンテンツ作り」、3「学習活動のデータ蓄積」にうまく寄与している。

意見とアイデア等を整理しまとめる
Apple Pencilの効果的な活用

3 充実したICT環境を利用した各教科等での活用

【環境:全教室にプロジェクタ・PC、教室タイマー完備、コンピュータルーム2室(90名同時に利用可能)】

・授業では、Apple Pencilで手書きした内容も含めApple TVを使えばスクリーンへ瞬時に拡大提示できるため、板書が劇的に効率化し、生徒が考え、話し合う時間を多く持つことができる。

・手書きの注釈が入った資料や入試対策などの解説動画は、デジタルデータとしてGoogleドライブなどに蓄積でき、隙間時間を使った学習や主体的な学びを促すコンテンツとして生徒にも好評で、活用が進んでいる。

・iPadの活用は、インタラクティブな授業展開を可能とし、生徒は主体的に授業に参加できるため、学習の理解度の向上に寄与している。

教室のICT活用の様子

B デジタル・シティズンシップ
※「情報技術の利用における適切で責任ある行動規範」のこと


4 情報技術の利用における適切で責任ある行動規範

・従来からの情報モラルに関する学習の範囲を広げ、情報社会の影の部分だけでなく、積極的な情報技術の活用や情報社会へ参画する態度など、生徒自身が主体的に情報社会との適切な関わりについて考える取組を行っている。

・「メディアバランス」の考え方の一つである「人々の生活にとって良いこと、役に立つことを優先したデバイスやアプリの機能や特徴」を意識し、よい活用に結び付けるための具体的な方法を主体的に考え・実践・評価する取組などによって、よりよい学びに繋がる使い方を実践することができている。

・端末活用に関するルールについては、最低限に絞り、ルールで規制するだけではなく、生徒に何が大切か考えさせている。これまでのところ、問題行動は特には発生していない。

・生徒が端末を自由に使用することには、保護者から不安の声もあったが、生徒自身が何に使っているか保護者に説明したり、iPad配付資料に保護者が所見を記入する仕組みを導入したりして、協力的な理解が得られた。

遠隔技術を活用した講演会の様子
iPadを活用し理解を促進する

C 推進体制づくりと校務の情報化


5 端末の活用を踏まえた効果検証とICT活用の推進

・iPad導入前にICT検討委員会において、学校の実態に応じた端末活用の方向性やApple Pencilの有効性の検討など、綿密な準備を行うことで、年度当初から既存の教育実践とICTを活用したスムーズな学習活動が展開できている。また、数年前から取組んできたiPadを活用した授業改善のノウハウの共有が、前向きな活用の推進力となっている。

・学力向上委員会の研究テーマを「主体的・対話的で深い学び」を目指した授業と「情報活用能力の向上~千鳥型学習スタンダードに基づいた授業研究~」に設定し、全教職員でICTを活用した授業改善に取り組んでいる。

・今後も、ICT委員会(ICT検討委員会から組織替え)を中心に、総合的な探究の時間をはじめ、各教科での効果的な取組などのノウハウを集め、更なる活用に向けた整理・蓄積を進めていく。

Apple Pencilの活用場面
iPad活用に向けた研修の様子

6 学校・生徒・保護者間の積極的な情報共有

・さまざまな学校情報を生徒・保護者に随時発信し、スマホやパソコンで、いつでも確認できるようにしている。

・新しい情報発信のツールを数年前から模索し、2年前に「まずやってみよう」の試みから、活用の利便性を考え「Twitter」を導入している。学校の様子を含め修学旅行の活動も投稿するなど、リアルタイムで情報を確認できることから保護者にも大変好評である。

・本年度は、YouTubeも開設し、学校や部活動の紹介動画を掲載している。

県立笠岡高等学校公式Twitter

【まとめ】

 笠岡高等学校では、1人1台端末の活用に向けて、「生徒の主体的な学び」につながる取組を組織全体で推進されています。また、iPad導入前から生徒の実態に応じた活用の可能性を追究し、導入後も日々の取組を効果的に共有するなど、生徒一人ひとりの個性や能力に応じたきめ細かな教育活動につながる取組も実践されています。今後は、さらに機動的な組織体制づくりを進め、具体的な実践内容を学校全体のノウハウとして蓄積し、全教職員で共有・活用することで、生徒の資質・能力の育成に向けた組織的な取組を続けられると感じました。

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